原因を特定するためには尿検査が必要になります。

膀胱炎を疑う場合、知りたい情報としては以下のようなものです。

出血の有無、尿の濃さ、細菌の有無、結晶の有無、炎症細胞の有無、腫瘍細胞の有無 etc

また、あわせて画像検査(レントゲン検査、超音波検査)が必要になることも少なくありません。

まずは採尿からです。方法は3つほどあります。

①自然排尿による採取;本人がした尿を採取する方法

②カテーテル採尿;尿道カテーテルを入れて採尿する方法

③膀胱穿刺;下腹部から膀胱に針を刺して採尿する方法

それぞれメリット、デメリットがあります。

①自然排尿

やり方:散歩中にした尿を容器で受ける、ペットシーツを裏返しにして溜まった尿をスポイトで吸い取る、猫砂を抜いてした尿を採取する etc

メリット;体への負担はない、病院以外で採取可能

デメリット;ゴミや環境中の細菌などが混入しやすいので検査結果に影響が出やすい

②カテーテル採尿

やり方;症例にあったサイズのカテーテルを尿道から膀胱まで挿入して採尿する

メリット;手技は比較的簡単で短時間で採取可能、尿道などを傷つける可能性は低い、膀胱に沈んでいる結晶も採取しやすい

デメリット;オスは包皮炎をもっていることが多いので細菌が混入する可能性、メスは挿入困難な場合がある

③膀胱穿刺

やり方;超音波で膀胱を確認しながら採血用の針を皮膚から膀胱まで刺し尿を採取する

メリット;細菌の混入の可能性が低い

デメリット;出血、膀胱破裂を起こすことがある、上澄みだけを吸ってしまうと沈殿している結晶が出ないことがある

細かいことを挙げるときりがありませんが、大体の特性は上記の通りです。

一番きれいな尿を採取できるのは膀胱穿刺になりますが、膀胱に針を刺して大丈夫なのか?と思う方もいらっしゃるでしょう。

通常は問題ありません。

ただ、やはりCase By Caseです。

暴れてしまう子だと膀胱を割いてしまって緊急手術なんてことにもなりかねません。

他にもパンパンに溜まっている膀胱だと破裂する可能性が高くなります。針で風船が割れるイメージです。  

  

では当院ではどうしているか。答えはCase By Caseです。

尿を持ち込み頂いた場合には改めて採取することはなく、持ち込み尿で検査を進めます。

病院で採取が必要な時は本人の性格と膀胱の状態次第でカテーテルか膀胱穿刺か決めています。 

私の考えとしては、まずはどんな採取方法でも検査しないよりは遥かに情報が増えるので、まずは検査までたどりつくことが一番重要だと思っています。

検査の結果、採取方法に問題がありそうな場合には別の方法で再検査を試みます。

尿検査は何回も行う必要がある検査です(再評価、定期チェックなど)。

そのため尿の採取方法にこだわり過ぎても良くないと考えています。

もちろん、こだわらないといけない場面もあるので、その際は御説明致します。

最後に、尿検査はペットシーツ、猫砂、ティッシュペーパーなどにしみ込んだ状態では行えませんので御注意下さい。

次回は画像検査編になります。

この記事を書いた人

三鷹中央どうぶつ病院